Eine wienerische Maskerad' - und weiter nichts?

Oper, Wiener Walzer, ein bisschen Symphonie, usw.

一期一会の世界に恵まれて ~2023年 演奏会総括~

2023年も今日大晦日を残すのみとなった。これまで演奏会記録はTwitterにつけてきており、ブログという形で纏めたことはなかったが、今回学生時代最後の年度でもあるし、今年1年についてゆっくり振り返りたく思い、ブログで纏めてみることにした。 今年は海外…

演奏会という非日常への旅を志向して

「私は何のために演奏会に通っているのだろう」-ルートヴィヒ・ファン・ ベートーヴェン (1770-1827) のピアノソナタ第11番を聴きつつ、今年1年の演奏会記録を見返しながら、ふとこんなことを考えた。クラシック音楽が好きだから、オーケストラが好きだから…

抗いがたい同調圧力 ーショスタコーヴィチとベートーヴェンー

昨日9月25日は、ドミトリ・ショスタコーヴィチ(1906-1975)の誕生日だった。私自身決して好きだとは言えない作曲家で、録音、実演ともにどうも積極的に聴こうという気分になる機会が少ない。それでも、これまでショスタコーヴィチの実演に触れてきて、掴め…

リゲティ《アトモスフェール》から生き方を思う

2023年5月にウィーン・フィルハーモニー管弦楽団によってリゲティ《アトモスフェール》が演奏されたウィーン・コンツェルトハウス(指揮: フィリップ・ジョルダン)。 先日、配信を通じて、ジェルジュ・リゲティ(1923-2006)の《アトモスフェール》という楽…

ショルティ&ウィーンフィルによるシュトラウス《ばらの騎士》(1968-'69年)

普段あまりすすんで聴かない指揮者のひとりがサー・ゲオルグ・ショルティ(1912-1997)である。もともと私はショルティの音楽が苦手で、聴くのをためらってきたのだが、シカゴ響とのベルリオーズ《幻想交響曲》*1などを聴くうちに、ショルティでも好きな音源…

戦渦にオーケストラ体験の原点を思う ― ゲルギエフの思い出と今の思い

東欧での戦争が始まってからずっと、ヴァレリー・ゲルギエフ(1953-)という名前を見るたびに、私の中でわだかまりがどんどん大きくなっている。ゲルギエフがTwitterで話題になるとき、ないしは主にドイツ紙で報道されるとき、少なからず悲しい思いになる。…

「自然に光を当てて陰を照らし出すように」 ー フィリップ・ジョルダン

Herzlichen Glückwunsch zum Geburtstag, lieber Maestro Philippe Jordan!! フィリップ・ジョルダンとパリ・オペラ座管。2021年9月の音楽監督退任記念公演。リスト《ファウスト交響曲》とワーグナー《パルジファル》第3幕というプログラムだった。*1 10月18…

カラヤン&フィルハーモニア管によるシュトラウス《ばらの騎士》(1956年)

初めて《ばらの騎士》というオペラを聴いたときからずっと、「元帥夫人マルシャリン=リーザ・デラ・カーザ」という図式を頭に浮かべながら聴いてしまう節があり、エリーザベト・シュヴァルツコップというソプラノをあまり好まない傾向があった。*1そのため…

バーンスタイン&ウィーンフィルによるシュトラウス《ばらの騎士》(1971年)

今日は指揮者・作曲家のレナード・バーンスタイン(1918年8月25日-1990年10月14日)の誕生日である。これを機に久々にバーンスタインの《ばらの騎士》を取り出してみた。初めて聴いたときには、あまりに濃厚で聴き通すのすら苦労したのだが、今もう一度聴い…

《ばらの騎士》組曲について

本当に久しぶりのブログとなってしまった。12月は何だかんだバイトが忙しく、過去いちばん働いたかもしれない。幸い教育系のバイトなので、脳は活性化したようで、音楽を聴いているときなどは特に、普段気づかないことにも気づくことが多くなった。そんな中…

#Beethoven250 にあたって~私とベートーヴェン~

ベートーヴェン生誕250周年を迎えた。おおよその誕生日しかわからないが、誕生日だといわれているのが今日12月16日である。*1世界でいちばん有名な作曲家のひとりと言え、その楽曲が世界中で愛されていることは言うまでもない。年末になれば日本では交響曲第…

#今聴きたい歌手50選 第16回 ~ミヒャエル=ローレンツ~

すっかりご無沙汰してしまった。最近は学校、バイトにコンサートと忙しい生活を送っていた。中でも印象に残っているのが今月初旬のウィーンフィルの北九州公演。ウィーンフィルは本国がロックダウン、出発前日にテロが起こった中で来日した初日。その日のメ…

#今聴きたい歌手50選 第15回 ~クレメンス=ウンターライナー~

だいぶ長いことブログを更新できていなかった。ご無沙汰してしまって申し訳ない。10月から大学も新学期を迎え、それなりに忙しくなってきた。さらにそれなりにコンサートのペースも戻りつつある。予定では11月のコンサートは5回、12月は3回で今年を終える。1…

フィリップ・ジョルダンのブラームス交響曲全集

フィリップ・ジョルダン(ウィーン響)。*1 フィリップ・ジョルダンという指揮者を聴き始めて半年以上経った。思えば初めてまともにベートーヴェンの交響曲をすべて聴いたのは、ジョルダン指揮、ウィーン響のものを聴いたときだった。それからというもの、ジ…

#今聴きたい歌手50選 第14回 ~ダニエラ=ファリー~

今日は研究室インターンシップのミーティングがあり、研究室配属が近いことを思い知らされた反面、これからの研究テーマを考えたり、どのようにそれを調査していくか構想を練り始めたりする時が来たのだと感じた。まだまだ具体的な内容が定まらず曖昧なもの…

#今聴きたい歌手50選 第13回 ~チェン=レイス~

最近更新できずにいたが、九響定期を2日間堪能したり、福岡に来られた方とお会いしたりと充実した時間を過ごしていた。気が付けばもうすぐ9月も終わるのである。この夏休みに何をしていたのか、十分に勉強できたのかなどと考えると正直怪しいが、それでも例…

オペラの聴き始めについて

ヴェルディ:歌劇《仮面舞踏会》(ウィーン国立歌劇場、ジャンフランコ・デ・ボシオ演出)*1 思えばオペラを本格的に聴き始めてから3年が経つ。初めはヴェルディの《仮面舞踏会》から入り、プラシド・ドミンゴを中心に聴くにつれてヴェルディの《トロヴァト…

#今聴きたい歌手50選 第12回 ~ステファニー=ハウツィール~

明日から実習のため、今日まで夏休みを謳歌しつつ、ドイツ語の勉強会をやり、オーストリアのハプスブルク帝国時代に思いを馳せていた昼下がりだった。最近は説明的文章から文学作品に移行したこともあり、独特の訳しにくさや韻の美しさなどを感じながら読ん…

#今聴きたい歌手50選 第11回 ~ヴォルフガング=バンクル~

ようやくテストが終わり、夏休みがやってきた。とはいえ、もうすぐ実習も始まるのでつかの間の夏休みということになる。今日みたいなフリーな日は家で音楽をゆっくり聴きながら、疲れを癒していきたいところである。今日はボスコフスキー指揮のウィーンフィ…

#今聴きたい歌手50選 第10回 ~エリン=モーリー~

ようやくレポート地獄から抜けたかと思えば、9月初めにはテストを控えていて、その後は実習もあるため、夏休みとは何か考えさせられる今日この頃である。もっと自粛期間中に何かしておけばよかったのかもしれないが、そうもいっていられないので、今日のよう…

理想のマルシャリン~リーザ・デラ・カーザ

新型コロナウイルス感染拡大が続いている。この調子では夏休みもあまり移動しないほうがいいのではないかと思えてくる。インフルエンザなどと異なり、夏でも感染拡大は続いており、ますます厄介である。私はレポートやテストに追われ…と思っていたら、対面で…

Die Zeit, die ist ein sonderbar' Ding

アドリアンヌ=ピエチョンカ(マルシャリン)。ウィーン国立歌劇場での《ばらの騎士》(2019年3月、ウィーン国立歌劇場1000回目の公演)。*1 最近、マルシャリン(ばらの騎士)への感情移入が激しい。10日ほど前、私は近くのカツ丼専門店で食事をした。この…

#今聴きたい歌手50選 第9回 ~オルガ=ベスメルトナ~

この夏の計画を立てている。この夏は勉強を頑張ることにした。勉強といってもオペラの勉強ではなく、大学の専攻科目の勉強である。今のところ、生態学、植物生理学、進化遺伝学といった方面に興味があり、そちらの方面に進んでいきたいなと思っている。この…

#カプッチルリ没後15年 ~名バリトン ピエロ・カプッチルリの命日に寄せて~

九響の演奏会が来週には再開されようとしている。この4か月間全く演奏会とは無縁の生活を強いられてきただけに、活動再開に対する喜びもひとしおである。17日の九響定期では邦人作曲家のプロがメインとなる。中でも小出稚子作曲の《博多ラプソディ》の世界初…

#今聴きたい歌手50選 第8回 ~マルガリータ=グリシュコヴァ~

私の住んでいる福岡市も大雨に見舞われ、昨日は近所も避難勧告手前までいったようだ。この時期の大雨は毎年のようにあり、私も一昨年は大雨の中午前中に自転車で学校へ行き、行った先で午後の授業の休講を知らされたり、昨年は水泳の大会が2日目中止になるな…

#今聴きたい歌手50選 第7回 ~ヴァレリア=サヴィンスカヤ~

今日は朝から結構な雨で、ヴェルディの《オテロ》を聴きたくなるような天気である。オテロの破滅し行く嵐、第1幕冒頭の嵐…。このオペラ全体がイアーゴのコントロール下における「嵐」であるのは間違いない。ヴェルディは起伏をうまく用いて、オテロの心の揺…

フィリップ・ジョルダンのベートーヴェン交響曲全集

ついにウィーン国立歌劇場のストリーミングも1日の《ファルスタッフ》をもって終わり、ウィーン国立歌劇場も夏休みに入った。もう2020年が半分も終わってしまったかと思うととても感慨深いものがある。2月までは演奏会に普通のように行き、遠方から来られたT…

#今聴きたい歌手50選 第6回 ~アンドレア=キャロル~

今日は課題の多い日だった。来週のレポートを早々に完成させるべく悪戦苦闘しながらも、意外と早く終わり、安心してウィーン国立歌劇場のストリーミング「若手歌手のガラコンサート」を見ることができた。これを見ることは、私がまだまだ知らない期待の若手…

プラシド=ドミンゴのバリトン役に関する個人的見解

今日はウィーン国立歌劇場のヴェルディ:歌劇《ドン・カルロ》のストリーミングを観ながら、ふと思ったことがあったのでブログを書いている。チョン=ミョンフンの指揮、ヴァルガスのタイトルロールにドミンゴのロドリーゴ、フルラネットのフィリッポ。女声…

#今聴きたい歌手50選 第5回 ~タチアナ=セルジャン & ジンシュ=シャホウ~

最近何かと忙しくて、ブログの更新をできていなかった。今日も課題に追われていたが、無事今日の予定は終わったので、こうしてウィーン国立歌劇場の《マクベス》のストリーミングを観ながら、ブログを書いている。 昨日は久しぶりに遠出をした。しかも自転車…