最近何かと忙しくて、ブログの更新をできていなかった。今日も課題に追われていたが、無事今日の予定は終わったので、こうしてウィーン国立歌劇場の《マクベス》のストリーミングを観ながら、ブログを書いている。
昨日は久しぶりに遠出をした。しかも自転車で。結構走らせたため、今日は脚が筋肉痛である。なかなか充実感のある1日だった。久しぶりに運動という運動をした気がする。私はいつから運動部ではなくなったのだろうか、とも思えるほどの疲労感だった。
さて、今日もオペラ歌手の紹介をしていきたい。第1線で活躍を続けていて、私がぜひ実演で聴きたい歌手をひとり、そしてこれからが楽しみな期待の若手をひとり紹介しようと思う。両歌手とも今聴いている《マクベス》に出演しているところである。
タチアナ=セルジャン(?-、ロシア)
サンクトペテルブルク出身の期待のソプラノである。彼女はマクベス夫人(マクベス)やアビガイッレ(ナブッコ)、オダベッラ(アッティラ)といった、ヴェルディの女性役の中でもとりわけ声量と圧力が求められる難役を得意としている。高音はやや弱いかもしれないが、それでも十分に迫力を備えており、かなり充実した中音域はこうしたドラマティックな歌唱を要求される役を無理なく演じる土台となっていることは間違いない。
ただ、彼女の場合、確かに声量もあり、力強さを備えているのだが、ピアノの繊細さについても忘れてはいけない。セルジャンの弱音は線が細く、繊細な感情表現、とりわけその悲劇的要素を表現するのにもってこいなのである。マクベス夫人(マクベス)では、確かに第1幕のアリアに見られるような力強さは魅力的だが、それ以上に第4幕の夢遊の場は絶品である。
聴いていてどことなくマーラ=ザンピエリを彷彿とさせるこのソプラノの当たり役は、やはりザンピエリのそれと重なっていて、先に述べた3つの役のほかにも、トスカ、マッダレーナ(アンドレア=シェニエ)、アメリア(仮面舞踏会)などであり、いずれもスピントの重役である。とりわけヴェルディの、先に挙げたマクベス夫人(マクベス)での評価が高い。指揮者で言えば、ムーティとの共演回数が多く、彼女もヴェルディのオペラに関して、多くの知見を得たようである。*2 今後絶対に聴いていきたいソプラノである。
ヴェルディ:歌劇《マクベス》第1幕よりマクベス夫人のアリア《さあ、急いでいらっしゃい》
続いては、新進気鋭のテノールをご紹介しよう。
ジンシュ=シャホウ(1990‐、中国)
中国出身の新進気鋭のテノールである。よく伸びる高音と滑らかで美しいレガート。非常にリリックに歌える、情緒的な歌唱が魅力的なテノールである。ウィーン国立歌劇場には2012年に初登場、以降この歌劇場にとって非常に大切なテノールとなっていることは間違いない。初めは端役から歌いだしたが、今ではロドルフォ(ボエーム)やネモリーノ(愛の妙薬)、ラミーロ(チェネレントラ)、ドン・オッターヴィオ(ドン・ジョヴァンニ)などの主役を歌う機会が増えている。*4
私が初めて彼の声に触れたのは、ウィーン国立歌劇場のストリーミングで観た《ボエーム》のロドルフォだが、以降イタリア人テノール(ばらの騎士)などの役を聴いたとき、突き抜けるように伸びる高音の美しさには惚れ惚れとさせられた。どちらかというとあっさりとした歌い口で、癖もなく、発音も明晰で聴きやすい。今後も引き続き、ウィーン国立歌劇場を中心として、さまざまな役で活躍してくれるだろう。
プッチーニ:歌劇《ボエーム》第1幕よりロドルフォのアリア《冷たい手を》
このストリーミング生活もあともう少しで終わると思うと、いかに恵まれていた環境かと思わざるを得ない。来月からは演奏会に行く機会もできたのは素直に嬉しい。ただ、まだまだ新型コロナウイルスに関しては予断を許さない状況ではある。今後もマクベス夫人のようにしっかりと頻繁に手を洗い、しっかり感染症予防しながら、音楽も楽しんでいければと思う。
それでは今日はこの辺で。