Eine wienerische Maskerad' - und weiter nichts?

Oper, Wiener Walzer, ein bisschen Symphonie, usw.

#今聴きたい歌手50選 第3回 ~ベンヤミン=ブルンズ & イリーナ=ルング~

 何だかんだ計画を立てながら課題やレポートを処理できている今日この頃である。しかし、眠いものは眠いのである。ヒョウモンチョウのように夏眠をしてしまいたいとふと思う時もある。かつてのように朝早く起きて、計画的に運動して、たくさん食べて、疲れて、寝るという生活はもう戻ってこないのだろうか…。おかげで、自粛期間に入ってから、すべてが省エネ生活なのである。演奏会に行ければなあ…などと思うこともある。ただ、今はストリーミングを観ながら、耐え忍ぶしかないのだ。

 

 昨日6月9日は大好きなソプラノ、イレアナ=コトルバスの誕生日だった。昨日はバイトなどもあって、なかなか時間が取れず、コトルバスの歌声を聴く暇などあまりなかったのだが、今日は時間があるので、朝からクライバー指揮、バイエルン国立歌劇場の《椿姫》の有名な盤から始め、ジュリーニ指揮、ウィーンフィルの《リゴレット》、そして今はカラヤン指揮、ウィーン国立歌劇場の《フィガロの結婚》の1977年ライブを聴いている。瑞々しさと陰影、可憐さと儚さを備えたソプラノで、ヴィオレッタ(椿姫)やミミ(ボエーム)、スザンナ(フィガロの結婚)、ジルダ(リゴレット)など、幅広く安定した当たり役を持っていた。私が聴くきっかけとなったのはクライバー盤の《椿姫》で、クライバーを聴こうと思って買ったのに、気づいたらコトルバスのヴィオレッタに惹かれていた。

 

 コトルバスを聴きながらではあるが、今日もまた、オペラ歌手の紹介をメインにやっていきたいと思う。

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ベンヤミン=ブルンズ(左、ドン・オッターヴィオ)、イリーナ=ルング(ドンナ・アンナ)。ウィーン国立歌劇場でのモーツァルト:《ドン・ジョヴァンニ》(2017年1月)。*1

  ベンヤミン=ブルンズ(1980-、ドイツ)

 ハノーファー出身のテノール。とにかく高音が良く伸びる印象がある。滑らかな歌いまわしと突き抜けるようなフォルテ、とにかく繊細なピアノをもっており、モーツァルトを得意としている歌手。ウィーン国立歌劇場のストリーミングで聴いたドン・オッターヴィオドン・ジョヴァンニ)は絶品で、軽さと発声の滑らかさ、伸びやかで解放感ある歌唱が魅力的だった。でも、何となく聴いたことあるような声だと思っていたら、実はウィーン国立歌劇場で実演に触れた、ウィーン1001回目の《ばらの騎士》の公演でイタリア人テノール役で出演していたことを後から知った。*2 確かに特に中音域から高音域までの充実感が素晴らしく、オックスには机をたたいてほしくなかったなあ…なんて思うほど、惚れ惚れするような美声だった。

 このテノール、やはり当たり役はドン・オッターヴィオドン・ジョヴァンニ)とタミーノ(魔笛)だと思う。現代を代表するモーツァルト歌いとして、今後の活躍も楽しみな歌手である。

 というわけで、今日は彼のモーツァルトを聴いていただきたい。

youtu.be モーツァルト:歌劇《魔笛》第1幕より タミーノのアリア《この美しい絵姿》

 

 イリーナ=ルング(1980-、ロシア)

 そして、今日はもうひとり、ご紹介したい。先ほどの写真のドンナ・アンナ役のソプラノ、イリーナ=ルングである。

 線の細いコロラトゥーラながら、声量があり、ドラマティックに歌うこともできる歌手。2003年から2005年までスカラ座アカデミー所属で、プラシド=ドミンゴのオペラリアで受賞歴があり、そこからヨーロッパで活躍をしている。*3 ウィーン国立歌劇場にはヴィオレッタ(椿姫)でデビュー後、ドンナ・アンナ(ドン・ジョヴァンニ)、エレットラ(イドメネオ)、ミミ(ボエーム)など、いずれも彼女の当たり役を歌い、評価されている。*4 少し曇り気味ではあるが、中音域がとりわけ充実している印象で、それを土台に、やや線は細いながら高音域に伸びやかに声を当てていく印象がある。彼女の最大の当たり役はヴィオレッタ(椿姫)とミミ(ボエーム)だと私は思う。ウィーン国立歌劇場のストリーミングで以前見たヴィオレッタ(椿姫)は、特に第2幕第1場のジェルモン(これがドミンゴだった)との二重唱での感情表現の豊かさに惹かれた。

 というわけで、彼女の歌声も聴いていただきたい。

youtu.beモーツァルト:歌劇《イドメネオ》第3幕より エレットラのアリア《我が弟オレステよ、私の魂を受けとめておくれ、地獄の中で》

 ルングは来シーズン、2020年11月、グノーの《ロメオとジュリエット》のジュリエット役を歌う予定である。エヴリーノ=ピドの指揮、ロメオ役には超高音を得意としているアメリカ人テノール、マイケル=スパイレスが予定されている。非常に楽しみな組み合わせである。*5

 

 それでは今日はこの辺で。