Eine wienerische Maskerad' - und weiter nichts?

Oper, Wiener Walzer, ein bisschen Symphonie, usw.

ワーグナー雑感と期待の女性歌手

 最近よく寝ているはずなのだが、寝起きが洒落にならないほど悪い。なんでだろうと考えていたら、夜型人間になってしまったことが関係しているらしい。そう思って、昨日の夜は21時に寝た。モーツァルトを聴きながら寝たので、すんなりと落ちることができたようだ。今朝は早起きしてドイツ語の長文を読む予定だったが、結局起きたら8時だった。10時からオンラインでドイツ語の勉強会をするので、その予習を慌ててやり、オンライン勉強会を経て、午後から大学のオンライン授業を受けている。

 

 今朝起きてワーグナーの誕生日だと知った。だから何だ、という話なのだが…。私にとってワーグナーというのは、オペラをよく聴くわりに極めて疎い存在で、今まで《トリスタンとイゾルデ》《ローエングリン》ぐらいしかまともに聴いたオペラはない。でも、ワーグナーの存在が他の作曲家に与えた影響は極めて大きいのは間違いなく、その存在を尊重するためにも、今は《トリスタンとイゾルデ》を聴いている。

 とはいえ、《トリスタンとイゾルデ》というオペラも、ウェルザー=メストがいなければ、永遠に聴くこともなさそうだった作品である。もちろん、第1幕前奏曲や第3幕《愛の死》などは単独で取り上げられることも多いので、聴きなれた作品ではあるのだが、全曲聴くことによって新たな発見や感覚もあるに違いないと思って、ウィーン国立歌劇場150周年記念ボックス(22CD)の中にあったウェルザー=メスト指揮、2013年ライブを聴くことにした。

  このウェルザー=メスト盤は、後に聴いた有名なクライバー盤よりも好きになった。ある程度ワーグナーに対する偏見(長い、うるさい…など)は払拭されたような気はするが、それでもあまりすすんで聴くオペラではなく、今でも聴く頻度は高くない。何なら《ローエングリン》にいたっては、初めて聴いて以来、1回も聴いていない気がする。

 特にヴェルディの最後のほうのオペラー最も顕著なのが《オテロ》らしいーを聴くと、ワーグナーの影響を感じるとおっしゃる知り合いも多い。私も《オテロ》は何度も聴いているが、ワーグナーに疎すぎるので、あまりよくわからない。ただ、4月に《ワルキューレ》第1幕のオンライン講義に参加させていただいて、ライトモチーフという概念を知ったので、何となくそれが使われているらしいことはわかる気がする(ヴェルディ後期の作品ー《アイーダ》《オテロ》などーにはライトモチーフが使われている*1*2)。

  

 

 さて、ここで話を変えるが、ウィーン国立歌劇場のストリーミングが怒涛のモーツァルトとなる。今日22日の《ドン・ジョヴァンニ》で始まり、23日は《イドメネオ》、25日は《魔笛》、26日に再び《ドン・ジョヴァンニ》、30日にまた《ドン・ジョヴァンニ》、31日が《フィガロの結婚》という具合だ。また、R. シュトラウスも24日に《アラベラ》、28日が《サロメ》、6月1日が再び《アラベラ》という感じで抜け目ない。ここ10日ほどのいちばんの楽しみは《アラベラ》なのだが、他にも25日の《魔笛》のパミーナがオルガ=ベスメルトナ、夜の女王がヒーラ=ファヒマという大好きなソプラノふたりだし、6月1日の《アラベラ》もチェン=レイス、ステファニー=ホウツェールという大好きな女声だし(ウィーンで聴いた《ばらの騎士》でそれぞれゾフィーとオクタヴィアンを歌っていた)で、歌手に注目しても楽しみは尽きない。

 ベスメルトナはふくよかで奥行きのある美声が持ち味で、個人的には伯爵夫人(フィガロの結婚)やタチアーナ(エフゲニー=オネーギン)での性格付けが魅力的だと感じたので、今回のパミーナも非常に楽しみである。ファヒマはウィーン国立歌劇場150周年ボックスの《仮面舞踏会》で知ったコロラトゥーラで、オスカル(仮面舞踏会)での発音と初々しさには目を見張るものがあった。後にムゼッタ(ボエーム)も聴いたが、こちらもとてもよかった。

 レイスは本当に素晴らしいソプラノで、彼女のゾフィーは私が聴く限り、最近ではいちばんではないだろうかとも思う。線が細く、しなやかさと上品さを備えた美声。感情表現にも卓越していた。今回のズデンカも楽しみである。ホウツェールのオクタヴィアンも太くしっかりした歌声ではあるが、感情的になる部分での線の細さ、重心はしっかりしているけれど伸びやかな高音と充実した中音域によって、凛々しさを感じさせる役作りは素直に素晴らしかった。今回はアデライーデ役。ズボン役で主に見てきたメゾなので、女性役で見るのが楽しみである。この日のアラベラはカミッラ=ニールンドでそちらに注目して観ることになるかもしれないが、このふたりにもぜひ注目してほしい。

 

 ワーグナーについての雑感や今後のストリーミングで楽しみな歌手をいろいろ話したところで、今日は失礼しようと思う。今回取り上げた4人の女性歌手については、かつて #日めくりオペラ歌手 で取り上げていると思うので、そちらも参考にされたい。また、ワーグナーの《トリスタンとイゾルデ》はウィーン国立歌劇場から29日に配信される。こちらもぜひ鑑賞したいと思う。