Eine wienerische Maskerad' - und weiter nichts?

Oper, Wiener Walzer, ein bisschen Symphonie, usw.

コロナ禍に思う

 オイルサーディンを付け合わせに、白ワインを嗜むという悪い遊びを覚えてしまった。思い付きで近くのパン屋で買ったオリーブバケットに、たまたまそこにあったオイルサーディンを乗せ、最後にオリーブオイルを垂らして、白ワインと一緒にいただく。至福の時間である。それ以来、白ワインと一緒にオイルサーディンを楽しむ機会も増えた。

 

 今はベルリンフィルのデジタルコンサートホールでメータの指揮するR. シュトラウス交響詩ドン・キホーテ》とベートーヴェン交響曲第3番を聴いている。昨年11月の公演で、この公演の後、ベルリンフィルはアジアツアーへと旅立った。日本でもこの曲目は演奏されたようだ。「ようだ」というのは、私が福岡で聴いたのはメータのブルックナー8番で、実際にこのプロを聴いていないからである。

 

 

 

 メータのブルックナー8番はなかなかよかった。正直健康状態的にどうかななんて思っていたが、メータは元気だった。確かに足腰は衰え、今では座って指揮をするようになってしまったが、上半身のしなやかさは想像よりはるかに素晴らしかった。そんなことを思いながら、昨年11月の来日を思い出しながら、懐かしく、聴いたこともない曲を聴いている。今映像を見ると、ここにも樫本大進がいる。ということは、来日では全部に乗ったということだろうか…。

 

 

 それにこのメータのブルックナー8番には後日談がある。本当はマエストロとお話しできればと思っていたのだが、さすがにご高齢だし、その機会はないだろうと思って、事前にファンレターを職員さんを通じて渡していただいた。すると、マエストロからお返事としてサイン入りのチラシをいただくことができたのである。これは一生の宝物になる。そして、マエストロの人間性に触れた気がして、感動してしまった。いまだにそのお手紙は大切に保管していて、感動的な名演の記憶とともに、心の中にも残っている。

 

 そんなことはさておき、今思えばメータを聴くことができたのも奇跡の連続だった。たまたま外プールでの大会が大雨で2日目中止(大会2日目はチケ取りの日だった)になってチケットを自分で確保できた。正直大会1日目で50m自由形のベストが出たので、2日目100mを泳ぎたかった気持ちは大きかったのだが、気を取り直して参戦したら良席を確保できた。そして何より、新型コロナウイルスという悪魔もいなかった。これは大きい。もし新型コロナウイルスが流行っていなかったら、メータは今年9月にスカラ座と来日してくれるはずだった。もし、このスカラ座に賭けていたら、メータを聴く機会はなかったのかもしれない。

 

 メータ&ベルリンフィル以上に幸運だったのは昨年3月にウィーンに行っておいたことだと思う。今年だったらこの機会などなかったわけで、現地で聴いたドミンゴ新型コロナウイルスに感染してしまったし、今後あのクオリティで歌えるかと言ったらわからない。ウィーンに行くにあたって、部活にはかなり迷惑をかけたが、それでも行っておいてよかったし、行かせてくれたという意味では部活には感謝している。そして現地ではアダム=フィッシャーの指揮するR. シュトラウスの歌劇《ばらの騎士》とドミンゴがタイトルロールを歌ったヴェルディの歌劇《シモン=ボッカネグラ》を聴くことができた。ドミンゴを聴くことは人生の目標のひとつだったので、あの夜は人生でいちばん幸せだと感じていた。出待ちもして、目の前にドミンゴを拝むこともできた。あの瞬間は一生忘れないと思う。

 そう考えると、生の音がとても恋しくなってくる。そしてウィーンにまた行きたくなってくる。また現地でオペラを見、カフェで落ち着いた時を過ごし、教会巡りをしてあの穏やかな雰囲気に浸りたい。ウィーン国立歌劇場音楽監督は大好きなフィリップ=ジョルダンである。オペラ座と喧嘩したウェルザー=メストも2020-2021シーズンから帰ってきた。このふたりを聴くためにウィーンに再び行くことを今は考えている。そして、ウィーン国立歌劇場といえば、2021年にシェンク演出の《ばらの騎士》で来日公演する。ジョルダンの指揮で。これにはぜひ行きたい。何なら、来日直前を狙って、ウィーンでジョルダンの《ばらの騎士》を聴くという選択肢もある。もしかしたら、ウェルザー=メストもあわせて聴けるかもしれないし。

 

 やはりそのためにはコロナ禍が収まってくれることを願うばかりである。今年はあと何回コンサートに行けるのだろう…。もしかして、1月4回、2月4回で終了なのだろうか…。実は今年は38回のコンサートを予定していたし、九響の定期会員になったばかりなのだが…想定外だった。またコンサートに行ける日が、終演後に音楽を愛するフォロワーさん同士で飲める日が、1日も早く訪れることを願っている。

 

 なかなかまとまりのない駄文になってしまったが、今日はこれで失礼したいと思う。